イージー・ライダー
Easy Rider
1969年/日本公開1970年1月

ワイルドで行こう/ステッペンウルフ
ワズント・ボーン・トゥ・フォロー/ザ・バーズ
ザ・ウェイト/スミス

Born to be wild/Steppenwolf
Wasn’t Born to Follow/The Byrds
The Weight/Smith
Ballad Of Easy Rider/James Roger McGuinn

最近、「自由になりたい」と思うことが多くなってきました。いやまあ、今もそれなりに気ままに生きているのだけど、なにか追いかけられているような、なにかしなくてはいけないような焦りとか、そういうものから解放されたいと願う気持ちが強くなりました。この歳にして野性に目覚めたのか、果てはやっぱりラスベガスに行って魂の解放でもしないとダメなのかなぁとか。そして自由の国はアメリカだよなぁ、と思っていたら、この映画を選んでしまいました。

1960年代後半から70年代にかけてアメリカで製作された反体制的な若者を、またはその心情を綴った映画をアメリカン・ニューシネマ(英語ではNew Hollywood)と呼びますが、その代表作としてあげられるのが本作『イージー・ライダー』です。麻薬の密輸で儲けた二人、ワイヤット(キャプテン・アメリカ)とビリーが、真の自由を求めてバイクに跨り、カリフォルニアからニューオリンズに向けて旅をする、ある意味ではストーリー性がない、ロードムービーに近い作品。もちろん、途中で知り合ったヒッピー集団と意気投合するも、思想や行動の違いで挫折したり、ただ無許可でパレードに出たという理由だけで警察に留置されてしまい、そこで手助けをしてくれた酔いどれ弁護士が仲間に加わったりと話も膨らみます。しかし、マリファナをキメて、バイクに乗り、アメリカの自由を信じて生きようとする彼らは結局、反対側にいる保守的なアメリカそのものに抹殺されう運命だったのです、という意外と深い意味も描いたあたりに評価が高いのだと思われます。1969年のアカデミーでは助演男優賞と脚本賞にもノミネートされ、1998年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されたというから、名作と言えば名作なんですね。

製作に関わり主演のワイヤットこと「キャプテン・アメリカ」を演じたのがピーター・フォンダ。『怒りの葡萄』(’40年)や『十二人の怒れる男』(’57年)などで有名な名優ヘンリー・フォンダの息子であり、姉は『チャイナ・シンドローム』などに出演した女優ジェーン・フォンダ。有名な映画一家です。ちなみに『ドグ・ハリウッド』(’91年)に出演したブリジット・フォンダはピーターの娘さんです。
本作の大ヒットで注目されたものの、その後はぱっとせずB級中心の俳優でしたが『木洩れ日の中で』(’97年)でゴールデングローグ賞を受賞、まだまだ健在というところを見せつけました。ついでに言っておくと以前、本コラムで紹介した日本映画『だいじょうぶマイフレンド』(’83年)なんかにも出ていますね。
もう一人の出演者としてビリーを演じたのが監督と脚本も努めたデニス・ホッパー。『理由無き反抗』(’55年)がデビュー作ですが、注目を浴びたのはやはり本作。以降も精力的に映画出演を重ね、主役というより名脇役としての存在感がある俳優です。近年では『スピード』(’94年)での悪役などが印象に残っていますね。TVドラマにも出ていて、人気シリーズ『24』なんかにも出ていました。2010年5月、74歳にしてガンで亡くなりましたが、惜しい俳優を失ったと思います。
さらに酔いどれ弁護士、ジョージ・ハンセンの役を好演し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたのがジャック・ニコルソン。今までにアカデミーに12回もノミネートされているのは男優として歴代1位であり、実際に主演2回、助演1回の受賞歴もある名優ですが、もともとは本作で注目を浴びた人だったのです。以降は『カッコーの巣の上で』(’75年)、『シャイニング』(’80年)、『恋愛小説家』(’97年)などなど多数の出演作があるので、みんなご存知の人。近年では『最高の人生の見つけ方』(’07年)でモーガン・フリーマンと共に良い爺さんの役をやっています。

本作の退廃的なムードは学生運動などが疲弊化していた日本でも大ヒットし、そして退廃的なヒッピーや長髪が若者文化の象徴にもなりました。そして、劇中で彼らが跨るハーレー・ダビッドソンのバイクは大人気になり、“チョッパー”と呼ばれる前輪のフロント・フォークが極端に長いこのタイプのバイクは超改造車でしたが、ものすごく流行りました。今でもこうしたスタイルのバイクを「アメリカン」と呼ぶのはそういう理由だということです。今で言う暴走族用のバイクという感じとは違いましたけどね。

さて、音楽ですがイージー・ライダーと言えば「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」。映画のヒットにあわせて、全米で大ヒットした曲です。歌っているステッペンウルフというのはカナダ出身のロック・バンドの名前。’67年に結成され、サンフランシスコに来てから60年代はかなり売れたそうですが、私はこの曲と、サントラに入っている「ザ・プッシャー」くらいしか知らないです。誰か詳しい人がいたら教えてください。ちなみにこの曲の中に出てくる「ヘビー・メタル・サンダー(Heavy metal thunder)」という言葉から、いわゆる「ヘヴィ・メタル」という言葉が生まれたという説もあるそうです。本当かどうかはわかりません。劇中には他にもジミ・ヘンドリックスやバーズの曲も使われていますが、どれも、ちょっと古く、アメリカンな感じのするロック、R&Bの名曲だと思います。その辺もこの映画の楽しみなのです。

▼イージー・ライダーと言えばこの曲。ステッペンウルフの「ワイルドで行こう(BORN TO BE WILD)」。
冒頭からいきなりです。

http://www.youtube.com/watch?v=E-MVRjTG71k&feature=related

▼1969年公開当時の予告編(英語)

▼ステッペン・ウルフのライヴ映像。カッコいい。
(携帯では観れません)

▼サントラ盤にも入っているザ・バーズの「ワズント・ボーン・トゥ・フォロー(Wasn’t Born to Follow)」
いかにもアメリカンポップないい曲です。
(携帯では観れません)

▼同じくサントラ盤からスミスの「ザ・ウエイト(The Weight)」を。

▼エンドロールで流れる「イージー・ライダーのバラード」はロジャー・マッギン。

▼おまけですが桑田佳祐と沢田研二が歌う「BORN TO BE WILD」を。画像最悪ですけど。
http://www.youtube.com/watch?v=70dPBiXRKFg

EASY RIDER

奔放な自由を求めてさすらう旅。
この生き方は今の時代にも通じるのではないだろうか。
まさにアメリカン・ニューシネマの傑作。


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