スタンド・バイ・ミー
STAND BY ME
1986年/日本公開1987年4月

スタンド・バイ・ミー/ベン・E・キング
Stand By Me/Ben E King

夏休みですね。知人のツィッターとかを見ているとスタジオ・ジブリの宮崎吾朗氏が監督したアニメ『コクリコ坂から』の評判が良さそうです。1963年、東京オリンピックを翌年にしつつ、戦後から抜け切れない時代、復興の足取りが如実に見えた時代、そんな時代の10代の恋愛、高校生活、そういうものが相まって、その辺に弱いBOSSは、たぶん観たら泣くのだろうな、と思うので観ていません。でも、宮崎吾朗というと個人的に『ゲド戦記』がダメだったので、期待していませんでしたが、きっと良い仕上がりになっているのでしょう。観た人は、ぜひ感想をくださいな。
ともあれこのコラムを書いているのはお盆の真っ盛り。『コクリコ坂から』の時代とまでは言いませんが、きっと多くの人は帰省したりして、昔の友人と中学、高校生時代を懐かしむことも多いことと思います。BOSSにもそんな時代の思い出があります。そして良いことも、悪いことも含めて今の自分を作ってくれた愛と友情が蘇るのも、この時期なのです。そんなことを考えていたら、前回、ご紹介した『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』から、若き日のインディを演じた俳優、リバー・フェニックスが光った映画『スタンド・バイ・ミー』を書きたくなりました。

映画はもちろんエンドロールでかかる同名の音楽が有名ですが、原作は『キャリー』(’74年)でデビューし、『シャイニング』(’77年)や『ペット・セメタリー』(’83年)、などで知られるホラーの巨匠であるスティーブン・キングの“THE BODY”という短編小説。ホラーの巨匠と書きましたが、ホラー映画がちょっと多いだけで、実際は『グリーンマイル』(’93年)とか『ショーシャンクの空に』(’94年)など、非ホラー系のほうがヒットしていたりするのですけどね。本作も“THE BODY(死体)”というタイトルだけ読むと、スティーブン・キングのホラーか、と思うのですが、内容は誰しもが持っているような少年時代のほろ苦い話。特に男の子なら、誰しもが思い出にあるだろう、ひと夏の思い出話です。

ストーリーは至って簡単なストーリー。冒頭、作家である作家ゴーディ・ラチャンス(リチャード・ドレイファス)が、ある新聞記事を目に留めて、遠い過去の日を思い起こすことに始まります。きっかけになった新聞記事とは“弁護士クリス・チャンバース刺殺される”という記事。そこからは彼の思い出話が始まります。オレゴン州、人口1200人あまりの小さな町キャッスルロックで12歳だったのゴーディ(ウィル・ウィトン)には仲良しの3人の仲間、リーダー格のクリス(リバー・フェニックス)、大きなメガネをかけたテディ(コリー・フェルドマン)、ちょっとスローなバーン(ジェリー・オコネル)がいて、タバコを吸ったり、ワイ談をしたり、少年期特有の仲間意識で結ばれていました。ある日、バーンがここ数日間行方不明になっている少年が、じつは電車に跳ねられて約30キロ離れた森の奥に野ざらしになっているという話しを町のエースをリーダーとする不良グループから聞きだします。そこで彼らは、その死体を見つけ出せば町のヒーローになれるということを思い立ち、死体探しの冒険に出かけます。その冒険は野宿をしたり、鉄橋を渡ってくる列車に追いかけられたりということもあり、まさに度胸試しのような旅。そして野宿の夜、交代でクリスが持ってきた拳銃を手に見張りをします。クリスはゴーディと2人きりになった時、自分の将来に希望はないが、ゴーディの文章を書く才能を何とか守ってみせると優しく語りかけます。(いいシーンです)。翌日、4人は死体を見つけますが、そこヘエースをリーダーとする不良グループが死体を横取りしようと現れます。バーンとテディは逃げ出しますが、クリスは毅然とした態度で立ち向い、怒ったエースがナイフでクリスを刺そうとした瞬間、ゴーディが拳銃をエースに突きつけます。少年たちの気迫に押されてエースたちは退散。彼らの夏の冒険は、そこで終わりを告げます。逃げ出したテディとバーンは、徐々に仲間から離れていきますが、その後、大人になってクリスは弁護士になり、ゴーディは作家になります。そこで冒頭に戻り、ゴーディがクリスの死亡(いざこざに巻き込まれて刺されてしまう)を新聞記事で知り、「あんな友達は二度と得られないだろうな」という懐古的終わり方をします。

たぶん30歳ぐらいの歳の人が高校時代の友人とか元彼女とか元彼氏とかと会ったときに、奇妙に懐かしいような、恥ずかしいような思い出を思い出すことに似ています。15年から20年という人生の時間は、それぞれを変えて、また変らないところを持ち続けていることなのですね。これが40歳を超えると変りすぎてしまって、むしろなにがなんだかわからなくなってしまいます。経験上の話ですけどね。

もう一つ、この映画の面白さにはアルコール中毒の父親と不良の兄を持つクリス、戦時中の英雄だったものの、今は精神を病んでいる親に育てられているテディ、素晴らしく出来のよかった兄の事故死から立ち直れない両親を持つゴーディ、などそれぞれの家庭環境や兄弟間のカインコンプレックスについて触れていることなども興味深い描き方をされていますね。BOSSもカインコンプレックスに悩まされたので、非常に悲しい気持ちで観た覚えがあります。ともあれ、悲しい映画かというと、田舎町特有のイベントなど面白さもあって、短編のワリには楽しめ、泣ける映画になっています。

さて俳優陣ですが、劇中、クリス・チェンバースを演じるのがリバー・フェニックス。当時は16歳で将来を嘱望された俳優でしたが、23歳にしてジョニー・ディップが所有するナイトクラブ“ヴァイパー・ルーム”で麻薬の過剰摂取で亡くなりました。ちなみに彼の弟は2000年に公開された『グラディエーター』や『炎のメモリアル』(’04年)などで活躍したホアキン・フェニックス。妹には『最後の恋の始めかた』(‘05年)に出演したレイニー・フェニックスと『パラサイト』(’98年)や『ディナー・ラッシュ』(’01年)に出演したサマー・フェニックスがいます。大人になったゴーディを演じるのはリチャード・ドレイファス。本コラムでも紹介した『アメリカン・グラフィティ』(’73年)『ジョーズ』(’75年)でも有名な俳優。他にもコリー・フェルドマンは『13日の金曜日』(’84年)でデビューし、本コラムでも紹介した『グーニーズ』の“マウス”役で一躍、人気者になった人。さらにはゴーディの死んだ兄“デニー”の役をやっているのが『狂っちゃいないぜ』(’99年)や『2012』(’09年)でメジャーなジョン・キューザック。とどめで言えば不良少年のリーダーである“エース”はTVシリーズ『24』のジャック・バウアーでメジャーになったキファー・サザーランドなのです。みんな若いときの映画ですね。ちなみに本作の舞台となる“キャッスルロック”という町は実在しないのですが、同じスティーブン・キング原作の『デッド・ゾーン』(’79年)や「『ニードフル・シングス』(‘91年)に出てきます。原作者の思いが強い町のイメージなのでしょう。

音楽は当然ですが、ベン・E・キングの“スタンド・バイ・ミー”です。エンドロールでかかる、この曲は1961年の彼の大ヒット曲であり、ジョン・レノンをはじめ、多くの歌手にカバーされ、この映画の主題曲としてリバイバルヒットになりました。ベン・E・キング自身が1938年の生まれですので73歳になりますね。元気で歌って欲しいものです。“スタンド・バイ・ミー”という曲を訳すのは難しいのですが、「そばにいて」、「いつか君がそばにいるだけで強くなれるから」という意味だと信じています。
BOSSは昔、バンドをやっていたとき、よくこの曲を歌っていました。胸に沁みる良い曲です。好きな人に捧げるような恋の歌ではないですが、“君がいるから僕は生きていけるのだ”ということを伝えたいときに歌いたい、そんな曲です。今でもカラオケでこの曲を歌うことがありますが、なんだかすごく真面目に歌ってしまう曲です。それはBOSSが若いとき、中学生とは言いませんが、若いときを思い出してしまうからだと思います。どんな場面であれ、「そばにいて、君がそばにいてくれることが大切なんだよ」という詞は、とても良い詞ですね。

夏休み、帰省して友達に会ったとき、この曲を思い出してください。カラオケに行ったら歌ってください。二人に永遠の友情があるように。その想いが伝わるように。

STAND BY ME(和訳)

夜が訪れ/あたりは暗く
僕らには/ただ月明かりだけでも
僕は怖くない/怖くなんかない
君が傍にいるだけで/僕は強くなれるから

ねえ、だから/傍にいて
いつも僕の傍にいて/僕の傍にいておくれ

見上げる空が/落ちようと
山が海へと崩れても/僕は泣かない/泣いたりしない
涙なんか/いらない
君が傍にいるだけで/僕は強くなれるから

だからお願い/傍にいて
いつも僕の傍にいて/僕の傍にいておくれ

君の心が沈むなら/そんな時こそ僕の傍に
僕がきっと支えるから/ああだから/いつも傍にいて

だから、ねえ/傍にいて/いつも僕の傍にいて
僕の傍にいておくれ

▼曲と共にスタンド・バイ・ミーの名シーンが入っています。
http://www.youtube.com/watch?v=sXmui1tasak

▼Ben E. Kingの「Stand By Me」です。名曲です。

▼「Stand by Me」(1986)の予告編(英語)

▼ベン・E・キングにエリック・クラプトン、フィル・コリンズという組み合わせです。

Stand By Me

懐かしい少年時代、懐かしい思い出。
忘れられないことが、 なんでこんなに悲しいんだろう。
そしてなんで大切なんだろう、
そんなことを静かに思い出してしまう映画です。


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