プラトーン
PLATOON

(1986年12月/日本公開1987年4月)

弦楽のためのアダージョ/サミュエル・バーバー
男が女を愛する時/パーシー・スレッジ
ザ・トラックス・オブ・マイ・ティアーズ/スモーキー・ロビンソン
リスペクト/アレサ・フランクリン
ザ・ドッグ・オブ・ザ・ベイ/オーティス・レディング
ハロー、アイ・ラヴ・ユー/ザ・ドアーズ
ホワイト・ラビット/ジェファーソン・エアプレイン

Adagio for Strings/Samuel Barber(Platoon Soundtrack)
When a Man Loves A Woman/Percy Sledge
The Tracks Of My Tears/Smokey Robinson
Respect/Aretha Franklin
(Sitting on)The dock of the bay/Otis Redding
Hello, I Love You/The Doors
White Rabbit/Jefferson Airplane

ビバリーヒルズをテーマに前々回はラヴ・ストーリー『プリティ・ウーマン』、前回はアクション・コメディ『ビバリーヒルズ・コップ』と来たので、今回は久しぶりに男臭い戦争映画を、ということで、社会派監督として有名なオリバー・ストーンの出世作映画から『プラトーン』を選びました。
監督自身がベトナム戦争を体験しただけに、その凄まじいまでの戦場の描写には、BOSSも身震いしたことを覚えています。ただの爆破シーンがすごいとかいう『ランボー』みたいな迫力ではなく、米軍による無抵抗の民間人虐殺、仲間内での殺し合い、兵隊たちの麻薬汚染等など、まさに“戦争とはなんだ?”と考えさせる、そんな映画でした。まあ、映画だからあくまでも娯楽なのだけど、この監督は本作を皮切りに『ウォール街』(’87年)『7月4日に生まれて』(’89年)などの社会派作品を始め、『JFK』(’91年)や『ニクソン』(’95年)など米国大統領をテーマにした作品、さらには『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(’94年)などの賛否両論を巻き起こすような映画ばかり作っています。つい最近の2010年には同じマイケル・ダグラスの主演で『ウォール街』の続編も作りましたね。

1967年のアメリカで、少数民族や貧困層の人間たちが次々とベトナムへ向けて徴兵されていくことに義憤を感じた主人公が、彼女の制止も振り切って大学を中退、陸軍歩兵としてベトナムへやってきます。しかし、そこは自分が想像した戦争とは、まったく違う“過酷であり、本当の意味で地獄の戦場”だった、という話。“プラトーン”とは軍隊用語で30人から60人で編成される小隊を意味する言葉。まさに生死を共にする戦闘部隊の仲間たちということです。

当然、その部隊メンバーに配役された役者も個性派揃いで、当時は無名ながらも、以降、スターダムを上がっていった役者も多いですね。主役のクリス・テイラーを演じたのはチャーリー・シーン。なにかと騒動の多い人ですが、本作で注目され、以降は売れっ子になりました。私は本作が彼にとって一番良かったと思いますけどね。部隊長であるボブ・バーンズ2等軍曹役にはトム・べレンジャー。『7月4日に生まれて』にも出ていますが、『山猫は眠らない』(’93年)で有名。言葉少なな渋い役者です。1989年には本コラムで紹介した『メジャーリーグ』(‘89年)で再びチャーリー・シーンと競演しています。

その部下でDVDのジャケットにもなっているエライアスグロージョン3等軍曹はウィレム・デフォー。彼も本作でメジャーになった人。以降は『スピード2』(’97年)や『スパイダーマン』(’02年)での悪役イメージが強い人ですが、『シャドウ・オブ・バンパイヤ』(’00年)などでも持ち味を発揮しています。前出のトム・べレンジャーと共に本作でアカデミー助演男優賞にもノミネートされました。
さらにこれは知らない人も多いけれど、今や超売れっ子のジョニー・デップも初出演こそ『エルム街の悪夢』(’84年)ですが、22歳で出た本作の兵隊、ガーター・ラーナーの役がほぼハリウッドに注目されるべきデビュー作だそうです。

他にも後に『ラスト・キング・オブ・スコットランド』(’06年)で、アカデミー主演男優賞を受賞するフォレスト・ウィテカー。彼は『グッドモーニング、ベトナム』(’87年)『スピーシーズ 種の起源』(’95年)とかも良かったなぁ。さらに脇で光らせるのはハリス大尉役のデイル・ダイ。彼はストーン監督の戦争映画では必ず軍人の役で出てくる人なのです。

事実を基にした戦争映画だから、かなり残酷なシーンもあるし、そういうのが苦手な女性には不向きだと思うけど、私としては戦争ってこんなものなんだ、ということを知るためにも、多くの人に一度は観てほしい映画です。ベトナム戦争と言うとフランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』(‘80年)がイメージする人が多いけど、本作も違った見方ができるベトナム戦争映画だと思います。特に60年代のベトナム戦争というのは“誰のために戦うのか、なんのために殺すのか”そして“アメリカにとってどういう意味を持っていたのか”ということを本作は浮き彫りにしていると思いますから。その辺の描き方はオリバー・ストーン監督が脚本まで努めている所以であり、本作のテーマなのでしょうね。でも、ちょっとハードな映画すぎるから観るのは一度で十分かな。アカデミー賞は作品賞をはじめ4部門を受賞。安上がりな俳優を使い、大ヒットした映画としても有名です。

さて、音楽ですが、なんと言っても本作では、ウィレム・デフォー演じるエライアス3等軍曹がひざまずきながら両手を挙げて死んでいくシーンをはじめ随所のバックで流れるサミュエル・バーバー作曲「アダージョ」の音楽が印象に残りますね。ゆったりとした弦楽器の悲しく寂しい音ですが、いい曲です。この曲は『エレファント・マン』(’80年)でも使われていますが、韓国ドラマ「冬のソナタ」でも使われたとか。ジョン・F・ケネディの葬儀でも使われたりしたそうなので、そういう音楽なのでしょう。

他にも映画自体の時代背景から60年代に流行した音楽を取り入れていて、サントラ盤にはスモーキー・ロビンソンの「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」、ドアーズの「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」、ジェファーソン・エアブレインの「ホワイト・ラビット」、アレサ・フランクリンの「リスペクト」、オーティス・レディングの「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」、そして一押し、パーシー・スレッジの「男が女を愛するとき」など11曲が入っています。

パーシー・スレッジはアラバマ州の看護士だったのですけど、この一曲「「When A Man Loves A Woman(男が女を愛する時)」だけで大スターになってしまったソウル・シンガー。本当にこの曲だけの一発屋でしたが、最近、またアルバムを出したりしているそうです。それに対して、スモーキー・ロビンソンはモータウンの設立にも参加した超有名人歌手。「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」はスモーキー・ロビンソン&ミラクルズとして’67年に発表した曲ですが、’70年にも再度ヒットして全米1位になりました。アレサ・フランクリンも’60年代後半に活躍したかなりメジャーなソウル歌手。’87年に女性として初めてロックの殿堂入りをしました。オーティス・レディングも同じく’60年代の有名なシンガーであり、“ローリング・ストーンの選ぶ歴史上 最も偉大なシンガー100人”でも8位の人ですが、’67年にこの曲「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」をレコーディングした3日後、飛行機事故で亡くなりました。この曲は’68年にビルボードで1位になっています。ドアーズについては、オスカー監督自身が本コラムでも紹介した『ドアーズ』(’91年)を作っていますから、当時から思い入れもあったのかもしれませんね。’65年あたりからかなり活躍したジェファーソン・エアプレインについても書きたいのですが、このバンドは複雑すぎて、今回は割愛させてください。それにしても、みんなすごい人たちです。この映画はサントラ盤もなかなかの出来ですね。

もう7月。そろそろ梅雨明けみたいだけど、ただでさえクソ暑い夏は嫌いなBOSS、今年は節電モードで更にめげそうです。こんな夏は自宅でDVDを観て過ごすか、映画館でも行って少し涼みたいところ。みなさんも暑さに負けないように頑張ってください。

このシーンが一番有名なシーン。エイリアス3等軍曹がベトナム兵に撃ち殺される場面。
(ここをクリックすると動画が見れます)

※この動画はiPhoneでは見ることができません。

クリス・テイラーがベトナムを去るラストシーン。
(ここをクリックすると動画が見れます)

※この動画はiPhoneでは見ることができません。

プラトーン予告編。英語
※この動画はiPhoneでは見ることができません。
http://www.youtube.com/watch?v=2o3I9R_QoRw&feature=related

サミュエル・バーバー作曲「弦楽のためのアダージョ」

パーシー・スレッジの「男が女を愛する時」

スモーキー・ロビンソンのトラックス・オブ・マイ・ティアーズ」
※この動画はiPhoneでは見ることができません。

アレサ・フランクリンの「リスペクト」

オーティス・レディングの「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」
※この動画はiPhoneでは見ることができません。

ザ・ドアーズの「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」

ジェファーソン・エアプレインの「ホワイト・ラビット

プラトーン/PLATOON

なぜ殺すのか、なぜ戦うのか、
本当のベトナムの戦場を初年兵の視点で見つめる。
まさに問題の戦争映画。音楽も良いですけど。


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